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  よーし、変更!

 

 この秋の日本人研究者によるノーベル賞の受賞ラッシュには、久しぶりに気持ちが、ぱあっと明るくなりましたね。

 それにしても、世の中にはいろんな学問があるものだ。

物理学賞を受賞した小林・益川両先生の「CP対称性の破れ」。

宇宙の物質(星とか人間とか)は粒子(その最小単位がクオーク)によって形成されているのだそうだ。

じつはビックバンで宇宙が誕生したとき、この粒子とともに、電荷が反対の「反粒子というものが同じ数だけ生まれたという。そして、この二つがぶつかると光に変じ、消滅してしまうのだ。だから、われわれも、地球も、銀河も、やがては消滅してしまう運命にあるはずなのだが…。

不思議なことに、宇宙には「反粒子」はみつからない。というのは「反粒子」は「粒子」よりも少しばかり弱く、生き残る確率が低くて、結果的に宇宙には粒子だけが残ったからだという。これを説明したのが「CP対称性の破れ」である。つまり、なぜ、宇宙にぼくらが「いる=存在している」かの理由を教えてくれたわけだ

 

 

ある日、とつぜん自分とそっくりな反粒子くんと出くわして、「わぁー」と光になってしまうということはないのである。そういわれると、なにやらほっとする。

ところで科学賞の下村先生の発見もなかなか面白かった。

緑色蛍光たんぱく質(GFP)」の発見。

 下村先生は、オワンクラゲが紫外線をあてると光ることからGFPを発見したというけど、洗面所のクラゲが光ったので「おやっと思って」という好奇心が研究の原点にあったことに、心から共感を覚える。

 研究のために、家族とか仲間とかみんなで、わいわいクラゲをとりにいったというのも、いいなあ。

GFPの、緑色以外への発光に成功し、発光メカニズム解明に貢献したことで同時にノーベル賞を受賞したチェン氏の、研究をはじめたきっかけが「きれいな色が好きだったので…」というコメントもそうである。

今、癌やアルツハイマーなどの研究に使用され、大きな成果をあげているGFPの発見・開発が、そんな「おもしろそう」とか「きれいな」という感覚的な動機で始まったというのがなんだかうれしい。

  

 

この下村先生が、子どもたちへのアドバイスで、ゲームなんてせずに外に出て自然と親しみなさいとおっしゃったが、まさに至言だと思う。

自然には面白いものがいっぱいあるのである。セミの羽の美しさとか、海岸の砂の模様とか…。星空とか。しかもゲームとは違って本物の。

芸術でも科学でも物理でも大切なのは、いうまでもなく好奇心と感動である。そして本物にふれたとき、それらは、なにかの結果にすぐにつながらなくても、心を豊かにしてくれる。

娘の誕生日プレゼントに、DSライトをねだられて、すっかり買うつもりでいたが

よーし、変更!

秋風の中でも、外で遊べるようフリースのトレーナーにするか

でも、泣くかな…。

 

 (初出「浜松百撰」2008年11月号。一部加筆改変しました)
©Jun NASUDA2008