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木曜バトル

クマの親子.JPG








木曜バトル」
2005年5月1日の日記より

 このところ毎週木曜日は、下の娘とふたりきりの晩飯である。
 長女がベルリン日本語補習授業校のこぐまクラスに通っているのだけれど、今学期から編成が変わり一時間ぐらい帰宅が遅くなって七時すぎになった。他の日は、六時頃に夕食をとっているし、就寝時間を一応8時にしているので、帰宅後の食事となるとけっこうせわしくなる。それで、長女にはお弁当を持たせ、青熊と次女はさきに晩飯をすませることにしたのだ。(奥さんは帰宅後、ひとりで食べている…ちょっとかわいそう)。
 家事全般のうちで料理を担当している青熊としては、お弁当というのはわりと楽しい。それに娘たちはふたりともドイツの公立幼稚園に通っていて戻ってくるのは4時過ぎで、それまでに仕事の合間をぬって作っておいてしまえば、夕食前のひとときをゆっくり子どもと過ごせるから悪くないのだ。そんなわけで、木曜日の夕方は、次女との公園や街のぶらぶらデート。だからって関係が一層濃厚になるかというと、べつにそういうこともないのだけれど、散歩から帰ってくるととりあえず満足するらしく、夕食前の三十分ぐらいをフリーにしてくれるのである。
 もっともその時間にさっと机に向かえるわけでもなく、結局、その三十分で、もう一品ぐらいおかずを作ることにした。それも自分のために。子どもたちや奥さんのおかずは、お弁当のときに用意してしまうので、ふだんあまり食べれないものをちょこっと。
 前々回は鳥のモツ煮を、そして前回は鮭の土佐作りとしゃけ皮焼きを作った。

 こちらにいると生のサーモンは簡単に手に入るので、まとめて買って刺身用の柵にさばいてから冷凍にしておく。そのとき皮が大量に出るのだけど、これを適当に切ってやはり冷凍保存しておき、必要なときに解凍してフライパンで塩焼きにするのだ。
 青熊は晩酌の習慣はなく、飲むのはお客さんがきたときと深夜のナイトキャップだけだけれど、おつまみふうの惣菜というのはご飯にも合うでしょう?
 ただ、ちょっとアクセントの濃いものは奥さんも苦手だし、子どもも好まないだろうということで一応、こういう手のものはつくり控えをしていたわけだ。
 ところが、「さあ、飯にしようぜ。きみは鳥のから揚げ、いいねえ。パパはしゃけの皮だ」
と箸をもったとたん、
「えっ、ほしいの、これ? これ、魚の皮だよ。口に合うかどうか…」
「おいちい」
「好きなのか、まじで? でも、塩味きつくない? 腎臓にもわるいぞ。 あっ、泣くな、やるから」
「メア(もっと)」
「あのさあ、それって四枚目だけども…」
 この次女は、くいしんぼうである。自分の好物でも半分は人に分け与えようとする天使のような性格の長女と違って、好きなものは絶対にわけてくれない。一度自分の皿にのったものは、自分のもの。人の皿の上のものも自分のもの派である。ちょっとつまんでみたりしようものなら、とられたあと泣き喚き、下手するとキレて、フォークとか床に落としたりする。こと食べることに関しては超わがまま。しかも、この子は初めてのものもとりあえず食ってみるタイプなので、侮れない。結局、この日は六枚焼いたしゃけ皮のうちに、青熊の口に入ったのは最初の一枚のみであった。朝から楽しみにしていただけにショックは大きい。
 さて、来週はなにを作ろうかとも思うのだが(あっ、来週はキリストの昇天祭で休みか。じゃあ再来週だね。)

…この小さな木曜日バトルは当分、続きそうである。

 追伸 この娘も今では9歳だ。相変わらずしゃけの皮は好きなようだ…。

青熊

©Jun Nasuda




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『ペーターという名のオオカミ』より
illustration by Michael Sowa©

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『星磨きウサギ』より 
illustration by Toshimi Yoshida