「これは、手紙でパンツじゃないですからね」などとわざわざ説明するのも、まるでミスター・ビーンみたいで、かえって怪しまれそうだし。と、あせっていると、うしろに並んでいる客から「はやくしろよ」的な目線がばしっときた。 そこで、えいっと中身はBrief と書いて、係りの顔も見ずに金を払い、家に帰って、いそいで英和辞典で調べてみたのだ。男性用の下着のパンツ=Briefsとある。
「やっぱり…」と思ったが、
「あっ」。パンツは複数形で用いるとあるじゃないか。
ほっと一安心。キッチンのイスにどかっとすわって、「手紙は二通入ってたけどさ、複数形にしなくてよかったよ」と家族に話すと、娘がちょっとしかめつらして、
「でもパパ、ドイツ語だと、手紙の複数形は、Briefe。sじゃなくてeだよ」
ドイツ語のできなさをずばり指摘されて、またがっくりである。
(このエッセイは、2011年に浜松百撰に掲載したものを修正しました)
©Jun NASUDA2011